アッサラーム・アライクム!北海道の西の果て、アブ・イサムです。最近、息子のイサムが通う小学校の保護者LINEグループで、私が発言するたびに既読スルーの速度が上がっている件について、皆様にご報告申し上げます。
PTA。この三文字を聞いただけで、多くの保護者が苦虫を噛み潰したような顔になるのではないでしょうか。都会だろうが僻地だろうが、その問題の本質は驚くほど似通っています。「同調圧力」「非効率な作業」「強制ボランティア」。まさに、思考停止した大人たちが作り出した「魔界」です。
先日、岡田憲治氏の著書『政治学者、PTA会長になる』を読み、私は膝を打ちました。政治学者が都会の小学校でPTA会長として奮闘するこの記録は、PTAという組織の不合理さを見事に解き明かしています。そして、私は確信したのです。
結論から言いましょう。PTAから逃げてはいけません。むしろ、戦略的に支配すべきです。私はこの本を読み、我が校のPTAで「任期1年の独裁者」になることを固く決意しました。
都会も僻地も同じ「魔界」の本質
岡田氏が都会のPTAで直面した問題は、ベルマーク集め、形骸化した委員会、前例踏襲主義といった、聞くだにうんざりするようなものばかり。一方、私が住む全校生徒20人の僻地では、役員のなり手がおらず、同じメンバーが何年も役員を続ける「固定化」や、少ないリソースでどう活動を維持するかという問題に直面しています。
一見、問題の種類は違うように見えます。しかし、根っこは同じです。
- 都会のPTA:人は多いが、「誰かがやってくれるだろう」という当事者意識の欠如が蔓延している。
- 僻地のPTA:人が少ないため、「自分がやらなければ」という過剰な責任感が、一部の人間に重くのしかかる。
そして、両者に共通するのが、「PTAをやめる」「活動を縮小する」という選択肢を異常に恐れ、思考停止に陥っている点です。岡田氏はこれを「民主主義の訓練」と皮肉を込めて表現しましたが、私に言わせれば、これは単なる「集団的サボタージュ」に他なりません。
アブ・イサム流「PTA戦略的ハック術」
岡田氏が「民主主義」というアカデミックな視点からPTAを分析したのに対し、元ビジネスマンであり、戦略的思考を信条とする私は、もっとドライに、もっと狡猾にPTAを「ハック」することにしました。
戦略1:目的の再定義(リフレーミング)
まず、PTAの目的を再定義します。「子どものため」という、誰も反対できないが故に曖昧で、あらゆる活動を正当化してしまう魔法の言葉を捨てます。そして、こう再定義するのです。
「PTAの目的は、保護者の負担を最小化し、学校運営に支障が出ない範囲で協力することである」
これにより、全ての活動は「保護者の負担を増やすか、減らすか」という明確な基準で判断できるようになります。
戦略2:徹底的なスリム化(事業仕分け)
次に、既存の全活動を「必須」「任意」「廃止」の3つに仕分けします。私の基準は明確です。
- 必須:これをやらないと学校運営が物理的に止まる活動(例:運動会の準備手伝いの一部)
- 任意:やりたい人だけが、自己責任で楽しむ活動(例:夏祭り、各種イベント)
- 廃止:やってもやらなくても誰も困らない活動(例:ベルマーク集め、広報誌の作成、謎の会合)
特にベルマーク、あれは即刻廃止です。あの作業に費やす保護者の時間を時給換算すれば、どれだけの損失になるか。その金で備品を買った方が、よほど効率的です。
戦略3:独裁と委任(トップダウン&ハンズオフ)
そして最も重要なのが、意思決定のプロセスです。民主的な話し合いなど、時間の無駄。PTAは企業ではないし、ましてや国家でもない。単なるボランティアの作業集団です。必要なのは、迅速な意思決定を行う「独裁者」です。
私が会長になった暁には、全ての意思決定を独断で行います。もちろん、事前に保護者へのアンケートなどで意向は調査しますが、最終決定は私一人が責任を持って下します。その代わり、決定した後の実行は、各担当者に完全に「委任」します。私は一切口出ししません。マイクロマネジメントは、組織の活力を奪う最悪の行為だからです。
まとめ:PTAを「魔界」から「訓練場」へ
PTAは、多くの保護者にとって、時間と精神をすり減らすだけの「魔界」かもしれません。しかし、視点を変えれば、これほど面白い「社会実験の場」はありません。
組織の目的を定義し、無駄を削ぎ落とし、迅速な意思決定で物事を動かしていく。これは、ビジネスの世界で求められるスキルそのものです。PTAは、最小の労力で最大のリターンを得るための「戦略的思考の訓練場」になり得るのです。
都会のPTAで消耗している賢明なパパたちよ。そのスキルと情熱、僻地で活かしてみませんか?ライバルがいないブルーオーシャンでPTA会長になれば、あなたの思い通りに組織を動かす快感を、存分に味わえるはずです。

